知っておきたいガスのハナシ

昔、越後の国(今の新潟)を訪れた旅人たちは、地面の中から自然に火が吹きだし、たえることなく燃えつづけているさまに大変慄き、「この世のことか、まさに奇中の奇なり」(この世のこととは思えない、不思議なことのなかでもとくに不思議なことだ)と語ったそうですが、これ、実は、新潟の天然ガスが地表から噴き出すさまに遭遇した時の様子なのです。

「ガス」はまさに「燃える気体」。天の恵みですな。


飲食店の熱源として用いられる「ガス」とは、主にガス供給業者から提供される、可燃性の気体のことです。

この「ガス」、大きく分けて「都市ガス」「LPガス」に分類できます。


「都市ガス」はガス供給業者が地下に供給管を敷設し、その供給管から直接メタンガスなどを主成分とする天然ガスを送り出す仕組み。東京都なら「東京ガス」が専売(二次販売業者は無数にある)するものです。

供給管が敷設されていないエリアでは使用することができません。

供給エリアが比較的都市部に限られるため「都市ガス」と呼称されています。

都市ガスにもいくつか種類があり、熱量(ガスの密度、とでも言いましょうか)の違いにより暗号のような呼称で称されています。

・13A

・12A

・6A

・L1(6B、6C、7C)

・L2(5A、5B、5AN)

・L3(4A、4B、4C)

都市ガス業者が供給するガスは、ほぼすべて「13A」ですが、稀にそれ以外のガスしか供給されないエリアがあります。詳しくは都市ガス供給業者にお問い合わせください。


「LPガス(Liquefied Petroleum Gas(液化石油ガス))」はブタンガスなどを主成分とし、圧縮することで液化させたガスを「ガスボンベ」に充填、そのガスを使用場所付近へ配送し取り付けて供給する仕組み。

地下にガス供給管を敷設する必要がないため、インフラコストが安価でどこでも使用することができるのが利点ですが、燃料単価が「都市ガス」よりも高額であるケースが多いです。

(ネットで「LPガス 高い」と検索すると愚痴やらなにやらがいっぱい出てきます。)

居酒屋さんなんかで出てくる「カセットボンベ」はこの「LPガス」をカセット式にして流通させたものです。

「プロパンガス」なんて呼ばれ方もありますが、「プロパン」とは「メタン系炭化水素」というガスの成分のこと。主に石油を精製する際に副産物として得られるもので、LPガスの原材料として用いられるもののことですので、「プロパンガス」は「LPガス」の一種、ということもできるでしょう。




一口に「ガス」といっても様々な種類があることがお分かりいただけたと思いますが、ここで重要なのが

ガス機器はガスの種類に応じて購入すべし

ということ。


燃料としての「ガス」が何種類かある以上、ガス機器はその「ガスの種類」に合わせて購入しなければなりません。


この記事の一番最初で「ガスは大きく分けて「都市ガス」「LPガス」に分類できます。」と言いましたが、ガス機器にも大きく分けて「都市ガス用」「LPガス用」があります。

※大きく分けて、というのは「都市ガス用」の機器の中にも「13A・12A用」「6A用」「L用」などがあるからです。


ガス機器とは大雑把に言うと「管の中を通った可燃性ガスに点火して燃焼させる機器」ですから、ガスの種類が違ってもガス自体を燃焼させることはできます。

ただし、ガス種の異なる機器でガスを燃焼させた場合、その特性に沿っていないために異常燃焼を起こします。


「ガスこんろ「9.誤った種類のガスを供給して異常燃焼」」(独立行政法人製品評価技術基盤機構より)

https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/nenshou/18082301.html


上の動画を見ると、LPガスが燃焼する際に「炎が大きい」「火の先端が赤い」ことが確認できますね。


「炎が大きい」のは、都市ガスとLPガスとでは「ガスの密度」が異なるからです。

都市ガスは精製したガスをそのまま管に通して供給するのに対し、LPガスは持ち運びを前提として「圧縮し詰める」ため、単純に言うと濃い燃料になっています。

そのため、同じ供給量で燃焼させるとLPガスの方が炎が大きくなってしまうんですね。

炎が大きい分、予定していた空気(酸素)の供給が追い付いていないので「火の先端が赤い」=不完全燃焼を起こしてしまいます。


反対にLPガスの機器を都市ガスで使用すると、薄い燃料で燃焼するため、逆に空気の供給量が過多となり、これも不完全燃焼を起こしてしまいます。


不完全燃焼を起こすと、一酸化炭素中毒の危険性が飛躍的に高まりますので大変に危険です。


昭和の昔は、ガス機器はガス屋さんで購入していましたから、ガス屋さんが「お宅んとこは13Aだね」なんて把握してくれていました。なのでガス種を間違えた、なんてことはなかったのでしょうが、ダイレクト販売が主流の現在では、こんなアラームを出してくれる人はいません(『購入前にガス種を確認してください』なんて書かれても、そもそも「ガス種って何?」ってひとには響きませんよね…。)。


飲食店の開業には様々なハードルがあります。これは、プロとしてビジネスに参加するために越えなければいけないハードル、と言えるのではないでしょうか。

「ガスについて知っておきたいハナシ」とは、不幸な事故が起きないように、プロとして最低限の知識は身につけましょう、という最たる例ではないでしょうか。


SANKO GK

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